1-1.生産計画作成機能(f-MRP・所要量計算)【Update】

 TPiCS-Xのコア機能であるf-MRP(所要量計算)は、単なる部品展開にとどまらず、「速く、安く、需要変動にレスポンス良く、しかし安定した生産」を実現するための革新的な計画ロジックです。受注データ、内示、または販売予測に基づく見込み計画を生産計画表の見込行に直接入力することで、製品構成表(BOM)に従い、製品から中間ユニット、末端の材料・部品に至るまで自動的に一貫した手配計画を立案します。月次で作成した計画をエクセル等で場当たり的に調整する運用から脱却し、最新の受注状況や実在庫に基づき今日から先の最適な計画を再計算することで、常に生きた実行可能な生産計画を維持し変化に迅速に対応できます。


■ 自在な生産計画を立てるパラメータ

 アイテムごとに設定可能なパラメータにより、現場の運用実態に即した精緻な計画を作成します。

・リードタイム・余裕(バッファ)の機能

製造リード日数:アイテムの着手から完成までに必要な日数を設定し、完成予定日から着手予定日を逆算します。

単位製造リード(標準時間):アイテム1個あたりの製造時間を設定します。段取時間とあわせて設定することで、製造数量に応じた正確な負荷集計やスケジュール立案が可能になります。

製造リード日数の余裕:計画固定後に必要時期が多少繰り上がっても、現場への無理な特急指示を避け、安定した生産を維持できるようアイテムマスターのパラメータで調整が可能です。

納入リード日数:アイテムが納入・完成してから、次工程での使用や出荷に供されるまでの寝かせ期間や輸送期間を管理します。

納入リード日数の余裕:部品手配が間に合わない場合に、顧客の要求を満たしつつ仕入先の混乱を招かないよう、必要最低限のバッファを設定できます。

・ロットまとめ(発注・製造単位)の機能

業務実態に合わせた最適な発注・製造単位を自動算出します。

基本的なロットまとめ:製造・発注の最小単位を指定し、端数を自動的に切り上げます。

2段階ロットまとめ:1段階目のロットサイズで最小数量を確保し、それを超える端数分に対して2段階目のロットサイズ(増分単位)を適用して切り上げる機能です。例えば、一定期間の必要量を合算しつつ最大手配量を制限するといった現実的な手配運用が可能です。

期間内ロットまとめ:指定した期間内(日・週・月など)の必要量を合算し、段取回数や発注回数を最適化します。

マックスロットまとめ:1回あたりの製造・発注上限値を設定します。規定量を超える場合は自動的に伝票を分割し、設備のキャパシティや物流制限に対応します。

 カレンダまとめ:納入先や自社の受入日に合わせ、特定の曜日にまとめて手配を行うスケジューリングが可能です。

■ 不良率による補正(アイテム・製品構成表)

製造工程での一定の歩留まりを想定し、あらかじめ多めに製造・手配する計画を自動立案します。アイテム全体の不良率設定に加え、製品構成表単位で特定の親に対する特定の子の不良率を個別指定でき、より実態に近い純引落し計画数量を算出します。

■ 多様なバケットと動的な計画運用

・最大365のバケット運用

生産計画表の計画日数(バケット数)は、日、週、月、さらにはシフト単位など、最大365バケットまで定義可能です。粒度の異なるカレンダーを一つの計画内で混在させることで、資材の長納期化への対応と直近の緻密な現場指示を両立させます。

・最大128階層の深い構成管理

1製品に対し最大128階層までの深い階層構造を構築可能であり、複雑な製品でも一括でシミュレーションと手配を実現します。

■ 実態を反映した計算在庫の把握

・計算在庫ベースの立案

現在在庫を起点に、発注済分や納入・作業の遅れを正確に加味した計算在庫ベースで立案します。時間の経過に伴う在庫推移を全階層レベルでシミュレーションし、真に不足するタイミングで必要な分だけ補充することで、在庫削減と欠品防止を両立します。

基準在庫(バッファ在庫):計画明細作成済み期間内の急な需要変動や納期短縮を吸収するためのバッファです。調達リードが長い部材でも、基準在庫を設定することで仕入先への無理な特急依頼を避けつつ、安定した生産を実現します。

最小在庫:在庫がこれ以下にならないよう補充計画を立てる閾値で、欠品リスクを低減します。

最大在庫:自動補充時に過剰在庫にならないよう上限を制限し、在庫水準の適正化を図ります。

■ 負荷集計と可視化 【5.0】

・製造期間で負荷の分散表示

所要量計算の実行後、アイテムの標準・段取時間に基づき各部門や設備の負荷を自動集計します。Ver5.0からは、従来の完成予定日のみに山積みする方式に加え、製造リード期間全域に負荷を分散して集計する機能が加わりました。これにより無理な計画割り込みを防止し、現実的な負荷状況を把握できます。

■ 計画の安定運用と変更管理

・指示済み期間の保護

計画明細作成期間:指示前でも計画明細作成期間の設定により、指示済みのように計画を固定する管理が可能です。既に指示を発行した期間の変更には変更伝票が発行されるため、現場や仕入先の状況に配慮した注意深い調整が行えます。

伝票発行期間:アイテムごとに伝票発行期間を個別に設定でき、それぞれに適した期間で計画の安定性を保ちながら運用することが可能です。アイテムごとの発注先や生産部署に合わせた発注リードタイムの制御が可能です。製品出荷や納期に間に合わない場合には特急として指示を出し対処することができます。

・計画の固定制御

手動操作による計画の固定:計画明細作成済みの期間より先であっても、生産計画表上でシフトキーと矢印キーを操作することで、特定の計画を明示的に固定させることが可能です。

固定レベル:計画の変動をより厳密に制御したい工程に対し、固定レベルを用いて階層的に計画を固定できます。固定期間内に不足が発生してもシステムが自動追加手配を行わず、在庫行がマイナス表示されジャーナルで警告されます。人間が手動で生産計画を調整する確実な運用が可能ですが、手間が増えるためネック工程に絞った活用が有効です。

1-2.ジャーナル機能(f-MRP)【Update】

TPiCS-Xは、人間が細かなチェックを行わなくても今、何をすべきかを教えてくれる計器飛行を実現します。

■ 将来のトラブルを未然に防ぐジャーナル機能

・手配遅れやリードタイム不足の可視化

受注変更や中間工程の仕損じなどから、発注リードタイムを割るなど、人が注意を払うべき計画変更をジャーナルに表示します。いつ、何が、いくつ不足し、どの出荷に影響するかが明確になります。

・新ジャーナルの視認性向上と生産計画表へのジャンプ 【5.1】

ジャーナルをクリックするだけで、該当する生産計画行へ瞬時にジャンプして調整が可能です。また、ジャーナルの各レコードには警告アイコンが表示されるようになり、ジャーナルへの対処優先度や緊急性が一目で判別できるようになりました。

・詳細な対処方法が分かるヒント表示機能 【5.1】

単なるエラー表示ではなく、対処のためのガイド(ヒントボタン)が表示されます。

■ システムの最適化

・ジャーナルと操作ログのテーブル分離 【New】

計算結果としてのジャーナルと、操作履歴を記録するテーブルを分離しました。これにより、大規模運用時でも安定したレスポンスを提供します。

1-3.受注との連携

■ 受注から生産までの一貫したフロー

・納期に基づく自動スケジュール算出

受注データの指定納期日を登録することで、出荷計画行と納期行へ自動反映されます。出荷日を起点に、製品構成表やリードタイムに基づき、生産計画日を自動算出します。

・在庫状況に連動した必要量の自動計算

計算在庫をリアルタイムに照合し、在庫が不足する場合には所要量計算(f-MRP)によって過不足のない生産計画が自動立案されます。 

■ 計画明細連携による柔軟な受注生産

・受注と紐づいた生産計画(計画明細)の作成

受注登録時にその受注専用の生産計画を同時に作成でき、特定の受注と紐付いた形で製造指示や進捗管理を一貫して行うことが可能です。

・引落明細による個別仕様への対応

必要となるユニットや部品を引落明細データ手入力から個別に追加でき、個別仕様にも柔軟に対応できます。

・子アイテムへの自動展開と手配

追加されたユニットや部品は次回の所要量計算で構成子アイテムとして認識され、その着手日に合わせた手配計画が自動作成されます。

■ 受注・生産の同期と調整

・要生産調整(受注調整)機能【5.1】

急な受注等により特急の計画が発生した際、受注データの受付区分を自動的に要生産調整(仮受付)へ変更し、納期調整の判断を支援します。

1-4.ランニングチェンジ機能

■ 部品切換えの自動化と最適化

・在庫・手配残を考慮した自動切換え

切換えマスターの登録により、在庫の消化時期をシステムが自動計算し、最適なタイミングで新部品への発注を自動的に切り換えます。

・変動への柔軟な対応

生産計画の変更や在庫数の変化があっても、所要量計算のたびにリアルタイムで対応するため、手動調整が不要です。

・実績入力・自動引落との連動

親アイテムの実績入力時、子部品の自動引落も切換えタイミングに合わせて新旧部品が自動的に切り換わるため、在庫不整合を防ぎます。


2-1.生産計画作成機能(製番展開)

受注ごとに固有の製番を付与し、製品から末端の部品まで紐付けて進捗を完全に把握します。顧客ごとの仕様が異なるカスタム生産において、原価と納期の厳密なコントロールを可能にします。

■ オーダーと生産を強固に紐付ける3つの製番管理方式

B製番(ベーシック製番):全階層を製番で繋ぎ、計画ごとに構成変更も可能です。設計から製造を行う個別受注生産に最適です。

S製番(先行手配製番):中間ユニットを先行製番で手配し、確定製番がこれを引き当てます。受注の前に、内示や受注確度が高い場合に、先行して部材、ユニット生産の手配を行うことができます。

F製番(f-MRP製番): f-MRPで立てた計画を製番で紐付けていく管理方法です。基準在庫やロットまとめで作成した計画を製番で引当てできます。

■ 製番展開の機能強化と柔軟な運用

・B製番展開時のS製番不足分作成 【5.1】

B製番の展開時に、引き当てるS製番が不足していた場合、その不足分をB製番の計画明細として作成できるようになりました。これにより、不足分に対して新たにS製番を立ててからB製番に戻り再度展開を行うといった手間が不要になり、作業が効率化されました。

・所要量計算とF製番の連携強化

所要量計算で製番展開ができるようになり、所要量計算のあとにF製番の展開で製番名を付けることが可能になりました。また、F製番は所要量計算において計画明細の製番引当てを解除し、再度製番引当てができるようになりました。これにより、所要量計算によって計画が前倒しになった場合でも、製番が前後することなく正確に引当てが行えます。

・生産計画表からのB製番計画作成

生産計画表にB製番が製番行として表示されるようになり、製番行に数量を入力するだけで製番計画を作成することが可能になりました。見込みの製番計画を登録して、所要量計算時に製番展開も同時に行い、シームレスに汎用部品の計画が立てられるようになりました。

・伝票発行タイミングの最適化

アイテムごとの伝票発行期間(発注リードタイム)設定に基づき、製番展開時に伝票発行予定日が自動セットされます。これにより、実際に手配が必要になったタイミングで漏れなく伝票を発行できます。

・多層構造への対応

最大128階層までの深い構成をサポートします。一度の展開で全階層の手配指示を作成し、製番で一貫管理します。

2-2.ジャーナル機能(製番)【Update】

個別受注生産における計画の無理を早期に発見するための機能が大幅に強化されました。

■ 製番ジャーナル機能 【New】

・製番管理アイテムの異常検知

製番展開時の納入リード日数割れ、製造リード日数割れ、伝票発行期間(発注リードタイム)割れ、製番引当て不足を警告表示します。さらに、製番計画の製番チェック、製番ガントチャートの製番チェックでも、製番全体をチェックした上で、対処が必要な内容はジャーナルに表示されます。納期遅延の芽を早期に摘み取ることができます。

・ジャンプ機能による迅速な調整

ジャーナルをクリックするだけで、製番ガントチャート上の該当計画へ瞬時にジャンプできるため、スムーズな納期調整が可能です。

■ 受注受付区分への自動回答 【New】

製番ジャーナルの有無に基づき、受注データの受付区分を自動振り分けし、現場の負荷状況を営業担当者へ即座に共有できます。

2-3.製番別ガントチャート表示機能【Update】

製番ごとに紐付いた工程の進捗を一元管理し、ビジュアルに表示します。詳細工程もガントチャート表示できるようになり、より緻密な進捗把握が可能になりました。

■ 直感的な操作と視覚化

・ドラッグ&ドロップによる同期調整と足跡機能 【New】

ガントチャート上での操作により、納期変更時には紐付けられた前後工程の計画も連動して更新され、スピーディーな日程調整を実現します。全工程の連動や、移動して逆転してしまわないように連動する機能があります。また、ドラッグによる計画の移動は、グレーの足跡機能で元の計画の位置が、計画明細へ反映するまで残るため、変更箇所を正確に把握できます。

 

・計画逆転の可視化 【New】

受注と製番計画の逆転や、計画明細の完了、着手の逆転も見えるようになりました。

 

・ガントチャートへのジャーナルマークと色別警告表示 【New】

警告が発生している計画に対し、チャート上で警告マークを表示し、ボトルネックを瞬時に特定できます。ジャーナルの警告も黄色で表示されるようになりました。また、生産実績の不良で手配していた部材が足りなくなった場合に発生する引当ての不足も赤く表示されるため、問題の深刻度が一目でわかります。

 

 

・警告の確認済み非表示と再表示機能 【New】

製造リード割れや伝票発行期間割れが発生していても、生産できることが確認できたら「確認済み」として一時的に警告を非表示にできます。その後、生産計画が変わったらシステムが警告を再度表示するため、変化があっても注意すべき手配が素早くかつ確実に把握できます。

・引当て解除と引当て機能【New】

ガントチャート上で製番の引当てを解除し、引当て可能な他の計画を引当てすることができます。まだ製番計画を引当てしていない受注データの受注製番引当てを行うこともできます。


2-4.構成の変更機能【Update】

設計変更が頻発する環境に柔軟に対応します。

■ 柔軟な構成編集

・直感的な編集

製番構成ツリー上での操作により、受注ごとの個別仕様への変更を簡単に行えます。

・オプションコードによる仕様選択

受注時に指定するだけで、標準仕様から特定パーツを差し替えた手配が自動実行されます。

・アイテムの取り外し機能 【New】

既に手配されたアイテムを製番から取り外し、別のアイテムへ変更できます。これにより、製作途中の設計変更や部品流用にも迅速に対応できます。

2-5.製番別原価集計機能

オーダー別の採算をリアルタイムに可視化します。

■ 精緻な予実管理

・予定と実績のリアルタイム対比

製造途中でも未完了分を予定原価として算出し、最終的な着地予測を早期に把握可能です。

・f-MRPアイテムの原価取り込み

共通部品の原価も、製番ごとの原価明細に含めて正確に集計可能です。

・複数製番に引当てされたロットの実績金額割り振り【New】

同じロットが複数の製番に引当てされ、分納されている場合、そのロットの実績金額を払出計画日順に割り振りして製番ごとの原価を集計できます。

3.アイテム毎の管理方法で多彩な受注形態に対応

TPiCS-Xの最大の特長は、アイテムごとにf-MRPと製番管理のどちらで管理するかを自由に選択し、混在できる点にあります。

■ 最適な生産管理方法の選択

・見込み生産・リピート生産

需要変動に柔軟なf-MRPが最適です。予測に基づき共通部材を効率的に安く手配します。

・少量多品種・受注生産

受注ごとに進捗や部品手配を管理したい製品には製番管理を適用します。

・一品生産

受注の都度設計する環境には一品生産オプションを併用し、マスター登録なしでの柔軟な手配・生産を実現します。

■ ハイブリッド運用による全体最適

最終製品は製番で顧客ごとに紐付け管理しつつ、下位の共通部品や汎用ユニットはf-MRPでまとめて効率的に手配するといった混在運用により、柔軟性と効率性を両立させ、真の攻撃型生産管理を実現します。

TPiCS-X Ver5.2は、高品質・低コスト・高レスポンスな攻撃型のものづくりを強力にバックアップします。