▲角田工場勤務の皆さん

イケダ工機 株式会社

3分の1の要員で管理精度を大幅に向上

地元で評判の生産管理の先進企業に

OA機器の部品ユニットを組立生産するイケダ工機は、20年に及ぶTPiCSの活用歴を持つ企業だ。過去には一時期、運用が停滞したこともあったが、組織の立て直しに成功。今では全従業員にルールが徹底され、受発注から生産計画、製造指示、出荷指示、実績管理、システムメンテナンスに至る広範な管理業務を効率よくこなしている。社内にはIT活用のプロフェッショナルもおり、自社の経験に基づくTPiCS活用のシステムインテグレータ業務も始めた。



部品の販売会社としてスタート

 イケダ工機㈱(本社=東京都品川区)の創業は1983年。OA機器メーカーで資材や営業の経験を積んだ池田立身氏(池田広史社長の父親)が東京都品川区でベアリング、ベルト、給紙ローラーなどの販売を始めた。1990年には仙台営業所を開設し、販売と併せて部品の組立も始めた。

 転機が訪れたのは1998年。取引先のOA機器メーカーから印刷機のドラムユニットの生産が移管され、それを機に角田工場(宮城県角田市)を建設。取引先の衛星工場として本格的な組立生産を行うようになった。ただし、それまでは支給された部品を組み立てるだけだったが、購買から生産準備、受入・出荷検査まで委託されたことで、急に管理業務が煩雑になった。ドラムユニットだけでも約250点の部品が使われ、仕向け地の違いによって完成品も90種類くらいに分かれるなど、管理項目が大幅に増えたのだ。

 購買計画を立てるには部品展開が必要になる。当初はそれを表計算ソフトウェアのExcelで行っていたが、製造部長をはじめ担当6人がどんなに頑張っても、時間がすごくかかり、間違いも多かった。そこで本格的な生産管理システムを活用することを決め、2000年6月にTPiCSを導入した。TPiCSを選んだのは、豊富な採用実績があり、得意先からも推奨されたことだった。

 当時、社内には生産管理システムが分かる人材は全くいなかったが、幸運にも取引先から管理業務に精通した人が出向で赴任し、システムインテグレータ(SI)よる適切なサポートもあって、立ち上げはスムーズにいった。 

 ▲ ライン生産


停滞期からV字回復

          ▲ 組立作業 

 ▲ 池田 広史 社長

 ところが数年後、一転して運用は停滞する。一番の要因は、生産管理を担当していた出向者が退職し、組織替えを余儀なくされたことだ。TPiCS はセオリー通りにやれば、購買や部品構成の作業は上手くいく。しかし、マスターの整備や注残、在庫の精度維持など、最低限のメンテナンスが必須となる。ところが「先代から聞いた話ですが、その頃のスタッフは、システムを動かせば勝手に何かをやってくれると思い込んでいたようなのです。おかしいところがあれば、当然、直すことが必要ですが、それをしなかったことで、在庫が狂い、リードタイムも狂うなど、導入以前の状態に戻ってしまったのです」と池田広史社長は話す。そして、現場へ行って見なければ、明日の生産に足りない部品があるかどうかも分からない。そういう状態に陥ってしまったのである。

 しかし、こうした状況もやがて回復に向かう。やるべきことをやって現状を打開しようという機運が社内で盛り上がった。それをリードしたのは二人の若手従業員だった。一人はシステムには詳しくないが、製造出身で現場業務に精通した人。もう一人は現社長の池田広史氏である。広史氏は学生時代にプログラミングを専攻するなど、IT やソフトウェアに強い。世間一般には「生産管理システムの担当者は現場にだけ詳しくても、IT やシステムにだけ詳しくても上手くいかない」と言われるが、二人が合流することによってベストな状態が生まれ、一気に回復に向かうことができた。合流するまでには多少の時間差はあったものの、いずれも基本を重視し、TPiCS の研修会にも積極的に参加した。

 「システムの流れと現場の流れが合っていないことはすぐに分かりました。それまでは現場が中心で、『とにかく現場を回さないといけない』という感じでやっていましたが、モノづくりは別として、『システムで管理して運用しないと、上手くいくはずはない』と思いました」と池田社長は当時を振り返る。

そしてフローチャートをつくり、「今はこういうフローだが、TPiCS に合わせるためには、こうしたほうがよい」という提案を矢継ぎ早に出したという。

 「TPiCS 事件簿」という改善ノートもつくった。「名称は刺激的ですが、要はTPiCS が悪いのではなく、『運用の仕方を間違えた記録集』であり、現場の人も含め気づいたことを皆で書きました」(池田社長)。一例をあげると、「子部品が親に引き当てられている数を引かなければ、現在の在庫と合わなくなる→引き落としたときに確認したか」などのコメントが書かれている。これを見れば、現象があり、調査を行い、結果を導き出し、それに対してどのような対策を打ったかが分かる。こうした改善策が奏功して2010 年代に入るとシステム運用はV 字回復をとげた。


システムの柔軟性を実感

 しかし、同社はそれだけでは満足しなかった。「それまでわれわれがやってきたのは、現場とシステムが合っていて、システムの数字を信用できるものにする作業でしたが、本来はもっとやりたいことがあったのです」と池田社長は言う。具体的には、何か起きてから対応するのではなく、何かが起きないために、事前に自分たちでチェックを入れていくという運用の仕方である。それを行うには、生産管理部門だけでなく現場の人たちの協力が必要であり、さまざまなルールをつくり、それを徹底させた。

 その結果、従業員一人ひとりの管理レベルが格段に向上した。例えば設計変更があると、誰が設計変更の依頼書を書いて誰に伝え、誰が修正するかなどのルールがつくられ、それがしっかりと守られるようになった。仮にこうしたルールがなかったとしたら、設計変更は一部の人にしか分からず、ミスが発生しかねないが、全員が情報を共有することで、ミスを防止できるようになった。

 「TPiCSのよいところは、システムに柔軟性があり、自分たちの好きなようにできること」と池田社長は言う。「よく、『問題のあるところは分かっていても、システムに縛りがあるので手がつけられない』と言う人がいますが、TPiCSはデータベースがオープンなので、ちょっとプログラミングしてデータ連携させれば解決してしまうことが結構多いのです。ほか

のシステムを使っているある会社の人は、『項目を増やすだけでも有償と言われた』と嘆いていましたが、それとは大違いです。そして、興味がある人からしてみれば、どこまでも掘り下げていける。こういうシステムはなかなかないと思っています」(池田社長)。

 システム導入前は担当者6人が長時間かけて作業しても難しかった生産管理業務が、システムが軌道に乗ってからは二人でこなせるようになり、最悪時には400万円ほどあった棚卸時の差異は、プラスマイナス5万円の水準にまで下がった。

          ▲        組立性を上げるための治具      ▲


近年はさらにパワーアップ

 ▲ ロボットによる部品の組み付け

 ▲ TPiCSの画面

 ここにきて同社のTPiCS活用は、成熟度を増している。数年前にソフトウェアハウス出身で生産管理システムの導入サポートの経験を持つエンジニアが加わり、さらなる高みに向かい始めたのだ。一例をあげると、以前は、使用する部品や材料は購入品が多かったが、最近は有償、無償の支給を受けて組立生産することが増えている。材料さえあればモノはつくれるが、支給されるタイミングが一定でなく、計画を立てにくいところがある。そのため、従来は生産計画や在庫管理は購入品を中心に運用され、支給品はデータを事務部門に集めて入力するなど、特例措置がとられていた。

 しかし、それでは工場全体の情報管理が行えないため、内示情報を起点に、支給してほしいタイミングで同社側から依頼できるようにするなど、TPiCSのマスターを生産業態の変化に追随できるようにした。また支給品の在庫管理も、購入品と同じように厳格に管理する仕組みを構築しつつある。将来は支給品の入出庫をハンディ端末のOCR(光学文字読み取り)機能を使って実績収集する計画もあり、同計画は宮城県の技術改善支援事業として採択を受けている。


当面の目標は経営戦略での活用

 生産管理の主体はあくまでTPiCSで行うのだが、汎用性が高いTPiCSを現場の人が直接使うにはハードルが高かった。そこで、データベースの管理開発ソフトのAccessを使いシンプルな画面で入力できるシステムの開発や、情報を加工して設計変更の自動通知機能を作成したり、効率よく棚卸し作業ができるようにシステムの開発も行ってきた。

 最近は同社の生産管理やITの取り組みが口コミで伝わり、取引先などから相談を受けることが増えている。「これまで、TPiCSによる生産管理の運用でさまざまなことを経験し、中小の製造業ならではの苦悩を身に沁みて感じています。製造品目や業態が変わってもマスターの変更でいかようにも変わっていけるTPiCSで、これまでに培った運用ノウハウを地元の製造業にも役立てていきたい」(池田社長)と、本業と並行してTPiCSのシステムインテグレータとしての事業も開始した。まだイケダ工機としてのSI事業は始まったばかりだが、すでに数件の引き合いがあるという。

 その一方で、池田社長は、「今後はTPiCSの情報を経営管理に生かしていきたい」と話す。今はまだできていないが、「例えばある月は工場のキャパに対してどのくらいの受注があって、稼働率はどのくらいで、人数は適正かどうか。現場でそれを把握して、その報告がもらえるようになれば、経営戦略を立てるうえで、かなり有効になると思うからです。TPiCSなら、それができるのではないかと、今からワクワクしています」と池田社長は意欲的だ。

会社概要

イケダ工機株式会社

▲角田工場社屋

代表者 池田 広史
本社

〒141-0031 東京都品川区西五反田1-24-4

タキゲンビル1110
 TEL.03-3495-6554 FAX.03-3495-6839

角田工場 〒981-1523 宮城県角田市梶賀字高畑北296-6
 TEL.0224-62-1414 FAX.0224-62-1223
設立

1983年

社員数 41人(国内)
資本金 1,000万円
売上高 4億1000万円(2020年3月期)
URL http://www.ikeda-koki.co.jp

主な製品例

      ▲コピー機の転写ユニット

       ▲トナーケース


導入システムインテグレータ

イケダ工機株式会社

自社工場で運用している経験を活かし

実務レベルでサポート致します。


〒981-1523 宮城県角田市梶賀字高畑北296-6

TEL:0224-62-1414

問い合わせ窓口:池田 広史
MAIL:ikeda.h@ikeda-koki.co.jp

http://www.ikeda-koki.co.jp