▲社員の皆さん

綾目精機 株式会社

関係者全員で業務改善活動

決算処理や棚卸しの迅速化などで成果

アナログ的な管理から合理的な管理へ、綾目精機の業務管理のスタイルが様変わりしつつある。日創プロニティとの経営統合を機にTPiCSを導入。当初はなかなか成果が現れなかったが、関係者全員による業務改善活動などが奏功して工程への理解が進み、TPiCS活用に弾みがついた。目標とする個別原価管理やきめ細かな生産管理の実現は道半ばにあるものの、日次・月次・期末処理や棚卸しの迅速化、在庫管理、進捗状況の把握など大きな成果が生まれている。



高度な精密切削加工で名声を得る

 綾目精機㈱は金属精密切削加工の会社である。芝刈機の部品から大型印刷機の部品まで、幅広く顧客ニーズに応える。中でも得意とするのはシャフトなどの軸物加工。通常、軸物を切削加工すると、どこかに歪みが出たり、組付け後のバランスが悪くなったりするが、高精度をウリとする同社の加工品は100分の1mm単位まで歪みが抑えられ、「直進性

とバランス性が素晴らしい」と顧客から高い評価を得ている。

 半面、こうした高度な技術力とは裏腹に、数年前まで業務管理は近代化から取り残されていた。エクセルと台帳によるEDI受注データの取り込み・確認と売上・仕入情報の入力が行われていただけで、生産管理のシステム化は手つかずの状態だった。当時のオーナー経営者が台帳に書かれた取引先別、製品別の実績情報や作業日報を見て、あとは勘を働かせて頭の中で日程計画を組み、「これは仕掛りをつくるもの」「これはすぐ出荷するもの」などの判断を下していた。勘とコツの生産計画・工程管理ではあったが、驚くことにその精度はかなり高かったという。

 しかし、さしものオーナー経営者も「これではまずい」と思ったのであろう。10年ほど前には工場にハンディ端末を導入し、作業時間の集計を試みたことがある。しかし端末が高価なため、3台しか入れることができなかった。ところが工場内には多数の工程があり、作業が終了し端末を操作しようとしても使えないことが多く、すぐに諦めてしまったという。

         ▲ 加工品の一例 ▲


経営統合を機にTPiCSを導入

                               ▲ 秋田淳二氏

                                  ▲ 渡部敬宏氏

 転機が訪れたのは2017年4月。それまでのオーナー経営から、東証二部上場企業の日創プロニティ㈱(本社:福岡県福岡市。以下、日創)と経営統合を行い、グループ企業となったことだ。それまでは本決算のときだけ製品と材料のザックリとした棚卸しを行っていたが、上場

会社基準ではそれだけでは許されず、四半期ごとのきちんとした棚卸しが求められた。そのためには仕掛りも見なければならず生産管理のシステム化を必要とした。

 親会社である日創で市販の生産管理システムを検討した結果、同年5月、TPiCSの導入が決まった。決め手となったのは、「綾目精機の製造工程はきわめて複雑で多岐に渡るため、単純なパッケージソフトではなくて、設定を変えたり機能を選択できなければなりません。こうした価格/性能比を見てTPiCSが妥当であると判断したのです」と取締役統括副部長(取材時:2019年9月4日時点)の秋田淳二氏は話す。

 日創が求めたのは生産管理の中でも、とくに製品別原価管理を適切

に行うことだった。早速、山下奉昭本部長(当時、現取締役事業本部長)、秋田氏(当時、統括サブマネージャー)を中心に製造部長と営業部長、事務部門の担当者から構成されるプロジェクトチームを結成し、親会社が求める製品別原価管理のほか、在庫管理、受注管理、売上管理、そしてトータルとしての生産管理システムの運用を急ぐことにした。プロジェクトがスタートした2017年5月当初、実務担当者として新人をあてがったが、6月には経理や管理業務に詳しい渡部敬宏氏が加わり、以後、渡部氏がプロジェクト事務局の役割を果たすことになった。


生みの苦しみを味わう

 だが、渡部氏は着任するやいなや「現状を見て、唖然としました」と言う。「生産管理システムの運用を牽引しなければならない事務部門の中にパソコンを操作できる人がほとんどおらず、『難しいから自分にはできない』とバリアを張ってしまう人もいるなど、とても前に進める状態ではなかったからです」(渡部氏)。事務部門ですらそんな状況だから、製造部門の工場はなおさらシステム化との関わりは疎かった。実際に、実績報告が滞るケースが頻発した。棚卸しを年に4回やることになったが、1回目のときは図番を書くことを徹底するだけでも大変で、棚卸しには4日を要した。しかもその間、工場は止めての棚卸しだった。

 「私も上司として、渡部が嘆くのも無理はないと思いました。そもそも材料の発注も、外注に仕事を出すときも、伝票を発行して承認を得てから出すという発想がなく、電話ひとつでやっていました。そういう状態でTPiCS導入前は成り立ってしまっていたのです」と秋田氏は話す。自身も、経営統合に合わせて日創から着任しており、綾目精機の旧来の業務の進め方は着任するまで多くは知らなかったという。

 「しかし、愚痴を言っていても始まりません。幸いにしてケイズさんというシステムインテグレータが寄り添ってくれていましたので、それを拠り所にTPiCSの定着に向けて、やれるところからやっていくことにしました。今から振り返ると、この時期に生みの苦しみを味わったわけです」(秋田氏)。

活用分野が徐々に拡大

 マスターの整備にも苦労した。日創の求める原価管理は、マスター整備および生産管理業務が行えた暁に、結果として見えるものである。最低限のマスターが登録できなければ、生産管理に向かうこともできない。TPiCSを活用するにあたり、整備するマスターは3000製品程度あり、アイテム数にすると2万程度になることがわかった。

 TPiCSの機能からすれば、本来なら直接、TPiCS上でマスター登録すればすむことである。しかし、「入力作業の候補者は、私を含めて製品の知識がないのでつくれない。かといって営業担当者や現場の人は、パソコン操作に不慣れなためつくれなかったのです」(渡部氏)。そのため、マスター整備は大幅に遅れた。次善の策として、ケイズに依頼して受注入力をしてマスターをつくる仕組みのエクセルソフトを作成してもらった。「二度手間になることは承知しつつ、皆がTPiCSに慣れるまではこれで繋いでいこうという判断でした」(渡部氏)。

 こうして、マスター整備が進むと、それと軌を一にして受注、出荷管理、外注管理、資材調達の発注管理など、TPiCSの活用分野は徐々に広がっていった。

 ▲ TPiCS画面


模造紙をツールにした改善活動

 ▲模造紙にフローを書き、問題点を書いた付箋を貼っていく

                   ▲模造紙を前に説明する秋田氏

 ▲加工現場で働くみなさん

 2018年9月より、同社のその後の生産管理システムの運用に大きなインパクトを与える取り組みが始まった。実状からTPiCSは二の次と考えていた秋田氏が始めたのは、模造紙に社内のすべての業務フローを書き、それをツールとして関係者全員で改善活動を行うというものだ。模造紙に書いたものを床に置き、その周りに人が立てば、全員が同じものを見ることができる。簡単に言えば業務の「見える化」である。

改善活動の対象者は事務部門全員と製造部長の10人。

模造紙には業務フローと合わせて、あらかじめTPiCSでできているところと、できていないところを書いておく。次に、各人が色分けされた付箋を使って現状の問題点や改善すべき事柄をその人なりに洗いざらい書き、その付箋を模造紙に貼っていく。たとえば「私は発注担当だが、急な注文が多くて困る」といった具合だ。

 次に、問題点として指摘された事柄が書いてある付箋を見ながら、皆で解決策を考える。解決策の内容は、①自分で処理できるもの、②ルールの見直しが必要なもの、③ケイズに対応を依頼するものの概ね3パターンに分けている。

 この改善活動の目的はいろいろある。自社の業務内容を工程ごとに理解すること。解決策を皆で考えること。そしてTPiCSの理解を深めることなどだ。「実は、業務遂行上の問題点として指摘を受けたことが、TPiCSの機能を使えば簡単に解決することが結構あり、皆がTPiCSに興味を持つようになりました」(渡部氏)。だが、1番の成果は、関係者全員が参加意識を持ち、理想的な生産管理システムの実現に向けて皆で盛り上がれたことだったという。活動は2018年の年末まで週に1回のペースで続けた。問題点と解決策は箇条書きにしてケイズに渡し、TPiCSの設定に反映してもらっている。

目標とする個別原価管理やきめ細かな生産管理はまだ実現できていないが、棚卸しが1.5日ですむようになり、月次決算に要する期間も半減するなどの成果も生まれている。


会社概要

綾目精機株式会社

▲工場の外観

代表者 石田 徹
本社

〒726-0036

広島県府中市河面町811
 TEL.0847-41-5049 FAX.0847-41-6323

創業

1967年4月

設立

1988年4月

社員数 39人
資本金 1000万円
売上高 5億4000万円(2019年7月期
URL https://www.ayame-seiki.co.jp

加工現場


導入システムインテグレータ

株式会社ケイズ

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担当:産業第二営業部 井上 智行、武田 祥幸

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