▲生産管理スタッフの皆さん

コマツキカイ株式会社

材料発注や生産計画立案がスムーズに会議や改善資料など生産計画以外の活用も進む

部品加工メーカーのコマツキカイは、単品部品生産中心の中央工場とアッセンブリ製品生産中心の南工場の両生産拠点にTPiCSを導入。材料発注をスムーズにしたほか、得意先にジャスト・イン・タイムで納品するための生産計画立案などに効果的に活用している。システム内に蓄積されたデータをもとに、設備負荷の見える化や人員計画、予算計画など、生産計画以外の活用も始めている。将来的にはAIや自動化にもつなげていく考えだ。



社内一貫生産と厳格な納期対応

 石川県小松市にあるコマツキカイ㈱は、建設機械最大手の㈱小松製作所(以下、コマツ)向けの製品を中心に、建設機械や産業機械、工作機械用部品などを製造する。
 創業は1938年。企業合併などの変遷を経て、2006年に新会社コマツキカイ株式会社として発足し、現在に至っている。製造拠点は本社工場の小松南工場(以下、南工場)と小松中央工場(以下、中央工場)の2か所。このほか、グループ内にはプレス機械部品や工作機械部品を専門に製造する㈱近江工業所という兄弟会社もある。
 強みは、旋盤加工や穴あけ、歯切りなど機械加工全般をはじめ、溶接、塗装、組立、梱包まで社内一貫生産体制を持ち、顧客の求めるQCD(品質、価格、納期)に応えられること。また、主要取引先のコマツの場合、日々、その日の取り入れ時間が指定されるが、そこにジャスト・イン・タイムで納品できる厳格さも大きな特徴だ。
 同社の工場は、かつては中央工場のみであり、ブルドーザーのトランスミッション部品などの単品生産が中心だった。転機が訪れたのは2008年。現在の主力事業であるブルドーザー向け終減速機(ファイナルドライブ)の量産を行うことになり、同年暮れに南工場が竣工されたことだ。「ファイナルドライブは、従来のような単品部品でなく、50前後の部品で構成されるアッセンブリ構造品のため、生産管理の仕組みを変える必要性が生じました」と管理課主査の秋山裕樹氏は話す。

 ▲製作中のファイナルドライブ

 ▲管理課主査の秋山裕樹氏


製造指示書発行マシン

 ▲組み立て現場

 同社の生産管理は、1990年代までは表計算ソフトのExcelを使用し、記録を残すくらいの簡単なものだった。2000年代に入って、初めて市販の生産管理システムを導入した。しかし、その活用は現場の作業者に出す製造指示書の発行程度に留まっていた。その指示書も現場長が頭の中で考えたものを紙に印字するにすぎず、生産管理システムとは言っても、さながら「製造指示発行マシン」と化していた。それでも、日々の業務が何とか回ったのは、「Aという部品をどう作るか」といった11の製造指示だけで済んでいたからである。

 しかし、そのシステムではアッセンブリ製品の管理には対応できない。そこで、新工場(南工場)の開設を機に、新たな生産管理システムの導入へと動いた。「『コマツさんの使っているシステムをそのまま入れたらどうか』という話もありましたが、当社には重たすぎてとても使いこなすことができないと判断しました。そして、市販のシステムをいろいろ調べたところ、最もコストパフォーマンスが良かったのがTPiCSだったのです」(秋山氏)。とくに決め手となったのは、付近にTPiCSを活用している企業があり、現場を見学して納得したことだったという。


中央工場が先に本格稼働

 20099月にTPiCSの導入を決定。中央工場と南工場は、前者が単品部品の生産、後者がアッセンブリ製品の生産と、生産方式も加工する品物も異なるため、それぞれにTPiCSを導入しデータベースも別に持つことにした。早速、TPiCS研究所やSI会社の北陸コンピュータ・サービスから講師を招き、研修会を何回も開いた。09年はリーマンショック後の不況の年でもある。南工場でのファイナルドライブの生産は、現在では通常月で200台前後、多い月では350400台製造するが、導入決定当時は10台未満の月が続くなど、「勉強に割く時間はいくらでもありました」と秋山氏。

 しかし、「さあ、行くぞ」と思った矢先に、生産管理を学習していた社員から退職、休職者が相次ぎ、TPiCSの設定は休止してしまった。しばらくして業務量がV字回復すると、今度は誰もが生産に追われ始めた。「本末転倒の話なのですが、『とても新システムの設定などにかまっていられない』という雰囲気になり、生産納期対応や現場管理などは旧態依然としたExcel管理でしのぐという状況が生まれてしまったのです」と総務部主査の永江憲映氏は話す。

 状況が好転したのは、休職者が復帰し、永江氏のように前職で生産管理に携わった社員が戦列に加わってからであり、その間、約3年のタイムラグが生じた。TPiCSの導入は南工場の開設がきっかけだったが、本格活用は中央工場のほうが先になった。中央工場でも仕事量が増え、材料発注や外注手配がExcelや手計算では追いつけなくなったという事情もあったが、「休職から復帰した社員が中央工場に配属されるなど条件が整い、多分に力技を働かせたものの、何とかスタートさせることができました」(永江氏)。

▲総務部主査の永江憲映氏


アイテム主体から工順主体に変更

 ▲加工現場

 難しかったのは、南工場での活用である。中央工場と同時期に設定に着手したものの、よくわからないまま手探りでスタートした結果、複雑な仕掛けをつくりすぎてしまったのだ。システムを動かしても、データ容量が重くて所要量計算に何時間もかかり、結果が出ても合っているかどうかわからない。そこから、社員の間で苦手意識が広がるという悪循環に陥っていたのである。

 しかし、せっかくTPiCSという優れた仕掛けがあるのに、それを使わない手はない。そこで設定を見直すと、問題点が見えてきた。いろいろな人がその人なりの基準でコード付けをした結果、ルールがバラバラになり、収拾がつかなくなっていたのである。幸いなことに、生産方式は異なるとはいえ、永江氏らは中央工場での本格稼働で自信を深めていた。そこで、「初期メンバーには申し訳なかったけれど、つくりかけのデータ(アイテムや基本マスター)を全部、消させてもらい、中央工場のやり方を手本に新たなルールに基づいて再入力することにしたのです」(永江氏)。

 重要なものの1つに製品構成表のルールがある。例えば、親のアッセンブリがあり、それの主な構成部品が5個あったとする。以前は、5個の子の部品に対して1工程の子の部品、2工程の子の部品と、すべてアイテム名を付けていた。そのため、1つの親に対して、孫やひ孫といった具合に67代くらいまで構成に付いてしまった。

 「工程ごとにアイテム名があったほうが納期もわかりやすいと判断して、細かくしたのでしょうけれど、それで構成が複雑になり、しかも『これって、何だっけ』というような話になるだけだったのです」(永江氏)。現在は5個の主要構成部品に工順マスターを登録し、1つのアイテムの中で1から5までの工程を指示する1枚の伝票だけで済むようにしてある。子の部品は何個でも基本的には同じだが、孫やひ孫になるとややこしくなる。このようにアイテム主体から工順主体に変更し、「『親がいて子が5人いるくらいの感じでザックリいきましょう』とやったら、MRPもサクサクと動き出しました」(永江氏)。こうして、中央工場からは半年弱遅れはしたものの、2013年夏には南工場のTPiCSも本格稼働した。


生産計画以外での活用にも着手

 両工場のTPiCSが動き出してから5年半。成果としてまず目に見えるのは生産管理担当者(両工場に2人ずつ)の負担が大幅に軽減されたことである。中央工場の場合、毎日100200点の部品を出荷しているが、かつては担当者が材料発注のタイミングや数量をすべて自分の頭の中で考えなければならなかった。それが、TPiCSが軌道に乗った現在では、基準在庫と製造リードタイムさえ設定しておけば、ほぼ自動的に発注できるようになった。また、共通部品の発注ミスが後を絶たなかった南工場でもミスがなくなった。新規顧客のフォローやマスター登録など、従来なかった業務が増えたため、人員や残業時間などには変化はないが、材料発注や生産計画立案がスムーズに行えるようになったのは大きな前進である。

 実績・予定データの生産計画以外での活用も始めている。マスター類が整備されたため、品番や工程ごとの作業結果から、設備負荷を読むことができるので、それをもとに人員計画や予算計画の資料に活用している。また、品番ごとの原価も見える化できたので、利益率の低い品番をリストアップして改善する活動なども始めている。

 このほか「IoTによる見える化」プロジェクトにも着手している。「TPiCSによる実績データを積み上げ、機械に良い学習事例を覚えてもらい、最適な発注や最適な段取り方法を加味した製造指示書を自動的に発行する」。そんな夢のようなシステムが現実味を帯びている。

 ▲ティーピクスの端末


会社概要

コマツキカイ株式会社

▲南工場全景

代表者 近江 秀夫
本社 〒923-0342 石川県小松市矢田野町西32-1
TEL.0761-48-6080 FAX.0761-43-3337
創業 1938年12月
設立 2006年9月
社員数 100人
資本金 3000万円
URL

http://www.komatsukikai.co.jp

主な製品例

 ▲ファイナルドライブ


導入システムインテグレータ

北陸コンピュータ・サービス株式会社

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