▲左から羽田野氏、王氏、鄧氏、杉山氏、山崎氏

住友電工電子製品(深圳)有限公司

自走型の生産管理システムが定着 

納期遵守率、製造リードタイムも大幅改善

住友電気工業株式会社のエレクトロニクス事業部門の海外の主要生産拠点である住友電工電子製品(深圳)有限公司。電子ワイヤー部門では、2010年の新会社発足を機に、それまでの加工専業から調達、加工、組立までを行う自走型工場へと生まれ変わった。工場の操業を支えるのがf-MRPを基軸とするTPiCSによる生産管理。本格稼働から6年。その間の徹底した従業員教育が実り、納期遵守率や製造リードタイムが大幅に改善されるなど、大きな成果を収めている。



電子ワイヤー事業の海外展開の要

 住友電工電子製品(深圳)有限公司(以下、SEPG)は、FPC(プリント回路基板)や電子ワイヤー製品などエレクトロニクス製品を生産する住友電工グループの中国拠点である。電子ワイヤー事業では、極細同軸ケーブルと各種部品を組み合わせ、エレクトロニクス機器内外の最適な配線材とする「CBA(ケーブルアセンブリ)」、平角導体を絶縁フィルムでラミネートした配線材の「FFC(フレキシブルフラットケーブル)」などの高付加価値製品を生産。海外に展開する電子ワイヤー部門8つの製造拠点の要として存在感を際立たせている。

 創業は1994年でSGEWという社名で深セン市内に設立された。20104月に住友電工香港電子線製品有限公司(SEPH)の100%出資会社として現在の場所に工場を移転。再スタートを切った。強みは社内に開発・設計機能を持ち、日本で開発された先端技術を量産製品として生産できること。品質やコスト面での市場競争力を持つこと。さらにスケールメリットを活かして、急な要求に対してもやりくりできるパワーを持つことである。「いざというときの瞬発力は、当社ならではのもの」と副総経理 電子線事業部部長の杉山博康氏は胸を張る。

 同社で生産する多種多様なCBA製品の中には高いシェアを持つものも多数存在する。例えば次世代の高速インターフェース規格Thunderbolt3製品では、トップクラスのシェアを握る。「CBA製品はベトナム工場でも生産をしていますが、それらの支援を含め、S E P Gにはグループ内外から大きな期待が寄せられています」(杉山氏)。

 ▲CBAの前処理と組立▼

 ▲副総経理 

電子線事業部部長の杉山博康氏


加工専業から自走型工場へ

 ▲高級経理の山崎信之氏

 前身時代を含めると24年の歴史を持つ同社だが、大きな転機となったのはやはり2010年の新会社としての発足である。それまでは日本で調達した材料を加工するだけの会社だったが、材料を自達した上で、加工から組立までを行う自走型の会社へと変貌したからである。それに伴い、業務の仕組みを変えることが必要になった。従来は住友電工グループが提供する基幹システムの中の必要な部分を使うだけで、同社側でデシジョンする行為はほとんどなかったが、自走型工場になったことで、生産管理を強化する必要性が生まれたのだ。

 「日本で生産管理の専門家を交えて業務改善の方法を検討したところ、自走型工場に見合う総合的管理を行うことがベストであるという結論に至りました」と、当時の事情をよく知る、現在はCBAの責任者である高級経理の山崎信之氏は話す。「基幹システムは現在でも使用していますが、どちらかと言えば受発注や購買、人事、給与計算などがメインで、MRPを基軸とするようなシステムではなかったのです。住友電工グループは中間財メーカーであり、既存基幹システムは製番管理を主軸として構築していましたが、われわれはあくまでもプッシュ型のシステムにこだわりました」(山崎氏)。こうして同社独自の生産管理システムの導入へと向かったのである。


3つの目標

 導入システムの選定にあたり、いくつかのシステムを調査したが、「意外にもあっさりとTPiCSに決まった」と同社ではいう。「TPiCSは機能が豊富な割に価格がリーズナブルで、しかも汎用性が高い。例えばマスタデータを追加したいときは、ExcelTPiCSのマスターインプットフォームに追加したいマスターを登録し、そのExcelのデータを読み込めばすぐにできるなど、短期間に立ち上げが可能な要素がすべて揃っています」と、現在、生産管理の責任者である電子線事業部経理の羽田野憲彦氏は話す。ただし、TPiCSに決めた一番の要因は、地元のSI会社のブルーネット(深圳網藍通用科技有限公司)の存在であった。TPiCSの機能や活用法を熟知していて、保守・メンテナンスに関しても専門のエンジニアが対応してくれる。そういうベンダーは他にはなかったという。

 201112月にTPiCSの導入を正式決定。納期遵守率の向上、製造リードタイムの短縮、工場の生産性向上の3つを目標として掲げた。中でも喫緊の課題は納期遵守率の向上と製造リードタイムを短縮することだった。

 特にシステム導入前の納期遵守率は部品点数が多く管理が難しい一部製品では平均47%という惨憺たる状態だった。従来は在庫計画を持っていなかったので、計画が変動すると何をどんな組み合わせでつくってよいかが不透明となり、また手戻りも多かった。在庫計画がないので発注が甘くなる。すると、つくりたいときに「モノがない」という事態が生じる。そして工場は動かず、納期トラブルが起こるという悪循環に陥っていたのである。

 製造リードタイムに関しても同じようなことが言えた。かつては材料がなかなか入らず、製造指示と材料がリンクしないことが少なくなかった。製造指示があるのに材料がない。それで停滞してしまうパターンや、製造指示を出したのに計画変更が発生して製造が止まることもあった。

 ▲電子線事業部経理の羽田野憲彦氏


教育・再教育・確認のサイクルを回す

 ▲電子線事業部主管の王長坤氏

 

 ▼業務部主任の鄧兆琴氏

 TPiCSの導入が決まると、ただちにシステム運用のための社内整備にとりかかったが、そこで思わぬ苦戦を余儀なくされた。何もない状態から始めたため、マスタデータやBOMが未整備だったことだ。しかも多品種少量のカスタム品が中心のため、部品点数がきわめて多い。そのため、すべての製品ジャンルを一度に取り扱うことはやめ、スタート時は特定の製品ジャンルに絞り込んだ。しかし、それでも品番にして300点、部品点数は1万点近くあり、適切なマスタデータやBOMの作成にはなかなか至らなかった。 

 ようやくマスタデータが固定され、運用が始まっても工場側の運用が定着せず、暫くの間、在庫などのデータの精度はきわめて低い状態だった。「長い間システムとは無縁の世界にいたため、作業者が業務の標準化に慣れていなかったのです。それまでは一応、Excelで管理していましたが、それぞれ自分なりのやり方に固執し、そこからなかなか抜け出せなかったのです」と電子線事業部主管で生産系の管理職を務める王長坤氏は話す。

 従業員教育の必要性を痛感したのは王氏だけでなく、業務部主任でローカルスタッフの責任者である 鄧兆琴氏も同じであった。「システムで使用する言葉と現場の言葉が合わず、そこから調整しなければならなかったのです」と鄧氏は話す。具体的には、まずは鄧氏らがブルーネットから指導を受け、それをもって現場作業者たちを教育した。毎日2回の職場会議を2週間続け、その後毎日1回の会議を3ヵ月間続けた。教育を主眼とする職場会議は現在も続いている。

 「教育、再教育、その後の確認を1つのサイクルとして何度も行ったところ、やがてデータ類の精度の向上を実感できるようになりました」(王氏)。システムの運用と従業員教育を並行して行い、6カ月ほどして1つの製品ジャンルのデータベース化が完了すると、次の製品ジャンルに取り組むというアプローチをとった。しかし、「製品ジャンルが変わるとそれに携わる従業員も変わり、正確なデータも集まらなくなるので、結局は従業員教育の手を緩めることはできませんでした」(鄧氏)。


納期遵守率が98%まで向上、LTの短縮も進む

 従業員教育の成果もあり、TPiCSが本格稼働して2年ほど経過すると、目に見えてデータの精度が高まった。それに伴い納期遵守率は98%にまで向上。また、材料が揃わない限り製造指示を出さず、完全にMRPで行うことを徹底した結果、一部の製品ジャンルでは直近(20152017年)の2年間の平均だけでも、製造リードタイムが30%短縮されるという効果も出ている。

 FFCでは完成品品番が数千点存在しており、部品品番は数百から数千程度。反対にCBAは常時流動している完成品品番が数百点程度で、部品品番は数千、最大だと一万を超える。同じ電子ワイヤー事業でも、FFC事業では完成品管理が難しく、CBA事業では材料管理に非常に手間がかかっていたが、TPiCSの導入により、特にf -MRPを用いてのCBAの材料管理は改善された。現在、SEPG全体で100人程度がTPiCSを利用している。

 「TPiCSがない頃は、材料の調達に際してさまざまな状況を見なければならなかったが、現在はシステムの中で調べられるので、大変助かっています」と鄧氏。「フォーキャストを見てシミュレーションできるのが非常に大きい」(王氏)ともいう。ブルーネットの提案により、PDA(携帯情報端末)の活用や、現場へのアンドンの設置、MES(製造実行システム)による進捗状況の見える化など、新たにTPiCSと連動するシステムも導入されている。「ここにきてMRPをエンジンとするTPiCSによる精度の高いシステムが回り始めました。今後はより付加価値の高まる攻めの生産管理を目指したい」と羽田野氏は語っている。

 ▲TPiCSの画面


会社概要

住友電工電子製品(深圳)有限公司

▲社屋外観

董事長 上宮 崇文
総経理 中田 将稔
本社 No.20, Song Tang Road, TongFuYu Industry Area,TangxiaChong,YanLuo Shenzhen
TEL.+(86)-755-2705-8903 FAX.+(86)-755-2705-7901
設立 2010年4月
社員数 7500人
資本金 97.1百万USドル
売上高

850億円(2018年3月期)

URL

http://www.sei.co.jp/company/group/china/shenchuan/post-15/

主な製品例

 ▲FFC製品

 ▲CBA製品


導入システムインテグレータ

ブルーネット(深圳網藍通用科技有限公司)

SHENZHEN Blue Net Gereral Technology Co.,Ltd

在中の日系企業向け、智能製造ITソリューション(MRP APS WMS OEE QCS BIなど)を確実にご提供し、企業のコスト低減、効率アップ、

競争力向上に力を貢献します。

 

中国広東省深セン市南山区科技中二路深セン軟件園13棟301室

TEL:(86755-26983856  

Mob:(8613925205368

MAILliyongjun@east-net.cn

担当:営業部 李永軍

http://www.east-net.cn