▲スタッフの皆さん

大洋技研工業株式会社 岐阜事業所

積年の課題を解決し、誰もがわかる生産管理を実現。
タブレットによるペーパーレス化も進む。

大洋技研工業岐阜事業所の現場中心の生産管理が進化をとげている。自動倉庫を実績計上の区切りに使うなどして在庫管理を適正化。タブレットを活用した作業のペーパーレス化も実施している。一連の業務を円滑にしているのが生産管理システムのTPiCS。
最初の導入から10数年を経て、今では誰もが生産計画を立案できるなど、しっかりと現場に根付いた。より効率的な生産を求め、今なお工場全体で努力が続けられている。



多品種少量の生産工場

 産業機器用・生活関連機器用のバルブ、フィルター、ポンプの総合メーカーである大洋技研工業㈱(本社:名古屋市中村区)。岐阜県加茂郡にある岐阜事業所(以下、工場)は、国内唯一の生産拠点であるとともに6か国8つの海外拠点のマザー工場として、大洋技研グループのグローバル戦略の要でもある。

 同社はBtoB(企業間取引)のメーカーだが、創業以来、どこの資本系列にも属さない完全独立主義を貫き、約200社に製品を納入している。「当社の強みは、お客さまの市場シェアに変動があっても、多くの企業と取引しているので、変動の影響を受けにくいことです」と取締役・岐阜事業所所長の小山千鶴氏は話す。

 しかし、メリットがあれば当然、デメリットもある。とくに難しいのが工場の生産管理。顧客数が多いため品番は3000点にものぼり、顧客ごとに受注形態や納入リードタイムも異なる。しかも、月に数個、数年に1回の注文などもあり、月平均で100個未満の生産品が8割を占めるなど、多品種少量生産の極みのような工場なのだ。

 ▲セル生産方式の組立職場


本社主導でTPiCSを導入

 ▲若手の積極的な参加が目立つ

 1990年代まで、生産管理は本社にあるオフィスコンピュータが使われていた。もっとも、当時行われていたのはMRPを回すことと、仕入れ先への注文書の発行のみ。そのMRP計算も1回につき7~8時間かかるため、日々刻々と動く受注には対応できず、工場内の生産計画はベテラン社員の勘と経験だけに頼っていた。この時点では在庫管理もきちんとできていなかった。

 2004年、本社主導でシステムが一新され、PCが利用できる生産管理システムの「TPiCS-X Ver3.1」を導入した。大規模な生産管理パッケージが多数存在するなか、TPiCSが選ばれたのは、TPiCSの持つ本来の機能を評価したものではなく、BOMを登録して、受注情報を入力し、MRPを回せば、生産計画が出来上がると考えた机上の選択だった。「いま思えば、それがそもそもの間違いだったと思います」と副所長で製造部マネージャーの後藤昌彦氏。本社にすれば、「システムさえ入れれば生産管理はできるだろう」という思いがあったようだが、その思いが工場側に伝わらず、お互いに不信感を持つことになった。

 以前よりも進歩したのは、工場で指示書、注文書の発行と、現品票を付けられるようになったことである。しかし、月1回の実棚卸をシステムに反映させることを試みても、依然として在庫は見えないままだった。


暗黒の時代が数年間続く

 当時の在庫管理の状況を端的に表しているのがメイン工場内の倉庫だ。当時は必要と考えられていた倉庫も、効率よく使うことにより在庫が減り、倉庫が不要になった。

 同社の製品は設計に始まり、射出成形やダイカストによる成形、機械加工、組立など長い工程を経てつくられる。こうした各工程で使われる材料や仕掛品、完成品など、ありとあらゆるものが在庫としてこの倉庫に置かれていたのである。

 現在は工程ごとに必要なものだけを払い出す仕組みになっているが、当時は棚がオープンで、担当者が好きなものを持っていけた。自由に持ち出せるので、他人に取られることを心配して余分に持ち出す。その結果、それぞれのラインが生産に必要な量の約3倍の在庫を保有するという珍現象が起きていた。

 売上はどんどん伸びているのに、在庫が合わないから生産指示書も出せない。小山氏はこの時代を「暗黒の時代」と称している。暗黒とは、暗いトンネルの中でライトも照らさずに生産計画を立てざるを得なかった時代という意味であり、厳しい時代は数年間続いた。

 ▲敷地の中央にあるブルーベリー畑。かつてはここにメイン工場と不要になったオープン棚倉庫があった


自動倉庫を見てひらめく

 ▲自動倉庫

 転機が訪れたのは2008年のことである。TPiCSの運用主体が本社から工場側に移り、工場スタッフの間で、TPiCSシステムインテグレータのトーテックアメニティに「やりたいことを伝え、積極的に使っていこう」という気運が芽生えた。トーテックの担当者が交代した時期とも重なり、改めて「実績を正確に入力すれば、在庫が引き落とせる」という丁寧な説明を受けた。しかし、それまでのオープン棚倉庫の感覚が抜けきれず、その時点では「入庫と出庫を厳格にチェックさえすれば、何とかなるのでは」くらいの認識でしかなかったという。

 ちょうどそのとき、工場に自動倉庫の1号機が導入され、部分的であるにせよ在庫がリアルタイムで見られるようになった。この自動倉庫を見て、小山氏は「そういうことか」とひらめいた。倉庫そのものではなく、考え方として倉庫への入庫=生産実績であることがわかり、実績の入力がいかに大切であるかようやく理解できたのである。

 ただし、作業者がTPiCSに実績を入力するのは、かなりの負担になる。そこでハンディターミナルを導入し、バーコードを読み込む仕組みにした。この仕組みは作業者にも歓迎され、作業者自らがハンディターミナルを使ってバーコード実績を行うようになった。

 自動倉庫はその後、毎年追加導入され、現在では自動倉庫をシステムの実績計上の区切りとし、ダイカスト、購入部品、仕掛品、完成品(組立)の実績と、実績による在庫引落によって管理が行えるようになった。


タブレット活用のペーパーレス化も始まる

 ▲タブレット操作の光景

 生産実績が正しく入力され、在庫が正確に把握できると、スタッフたちの意欲はさらに高まった。09年以降はトーテックの担当者を工場に招き、1か月に2回のペースで研修会を開催。皆で知恵を絞った。たとえば、受注情報を週1回更新、追加情報の見える化を図ると先が見えるようになり、生産計画のムダがなくなった。

 2000年代に入ってから、工場では受注量の増加に管理体制が追いつかず、ついに顧客に対して納期遅延を起こしていた。しかし、2011年1月をもって納期遅延は完全解消。以後、一度も納期遅延は起こさなくなった。さらに、ルールが徹底されたことで、ベテランでなくても生産計画、購入品の発注計画が立てられるようになった。

 さらなる効率アップを図るため、2016年8月には、再び工場発信で工場内の各エリアにタブレットを導入。生産指示書、日報をなくしてタブレットだけの作業に切り替えた。セル生産方式の組立職場の場合、工場の中央通路の脇にTPiCSと連動したモニターが設置されている。モニターにはそれぞれの屋台(45か所)でその日に行うべき作業情報を見ることができる。モニター端末は作業に必要な部品が揃うとそれをタブレットに知らせ、該当する作業者が仕事を始める。作業者は実行ボタンと終了ボタンを押すだけで、日報代わりになるわけだ。

 「それまでの紙を使った雑多な業務がなくなったことで、一人当たり1日1時間の時間短縮ができるようになりました」と現品質管理課スーパーバイザー(当時は工程改善課)の木村浩之氏は話す。


システムをもっと使ってやろう

 「今ではTPiCSを選んで本当によかったと思っています」と小山氏は言う。品番によっては予定していた生産量が直前に変化することがあるため、スケジューラーなどで固定化するシステムよりもある程度の自由度が必要なのだ。「TPiCSは、加工は人間がやり、人間にできないことをシステムがやってくれるというソフトウェアなので、とても使い勝手がよいのです」(小山氏)。

 だが、こと生産効率に関して同工場では、現状に満足しているわけではなく、改善の手を緩めいていない。一例をあげると現在、作業者ごとに異なる作業時間や段取り時間などのデータを収集している。行く行くはそのデータ分析から、生産効率のよいラインの配置や作業者の割り振り変更などを考えたり、加工機のタブレット情報から、どの品番との組み合わせが最適であるかを導き出す、一歩先を行く工場管理を考えている。

 「これまではTPiCSに教えてもらうばかりでしたが、『システムをもっと使ってやろう』を合言葉に、今後はわれわれからも積極的に提案していきたい」と小山氏は語っている。

 暗黒の時代を乗り切り、若手が活発に活躍して、自ら生産工程の改善活動を進めることが定着している印象を持った。

 ▲工場内に設置してあるモニター


会社概要

大洋技研工業株式会社

▲岐阜事業所の外観

代表者 石見 光久
本社 〒450-0001 名古屋市中村区那古町1-47-1
国際センタービル22階
TEL.052-566-2220 FAX.052-566-2221
岐阜事業所 〒509-0306 岐阜県加茂郡川辺町下川辺字田尻45
TEL 0574-53-3131 FAX.0574-53-3324
設立 1966年
社員数 150人(国内)750人(海外)
資本金 4800万円
売上高 52億円(2016年1月期)
URL http://taiyogiken.com

主な製品例


導入システムインテグレータ

トーテック アメニティ株式会社

TPiCS-Xを導入した豊富なスキル・ノウハウと豊富な
連携機能により、生産管理の課題解決をご支援します。

〒451-0045 愛知県名古屋市西区名駅2-27-8
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担当営業:杉本 篤史

担当SE:市山 角真
窓口:纐纈 良英(こうけつ)
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